卒業論文
情報表現がユーザーの認知及び負荷に与える影響
サムネイルのUI的特徴を中心に
01
背景
OTTサービスは今後市場の拡大が期待されている。OTTサービスでは多数の情報コンテンツを扱うために、 画面内の情報量が増加し、ユーザーの操作及び認知に負荷を与えることが危惧されている。そのため本研究ではOTTサービスの サムネイルに焦点を当てて、情報表現と認知の関係性を明らかにしている。
02
研究の目的と流れ
本研究は、OTTサービス内コンテンツの情報伝達やサービス差別化のためのUIにおける情報表現の違いがユーザーの 認知及び負荷に与える影響を明確にすることを目的とした。そこで、情報表現によるユーザーの認知及び負荷に関する論理的背景と情報コンテ ンツを扱うサービスにおける情報表現の変化に関する社会的背景を把握した上で、サムネイルに焦点を当て調査及び実験を行なった。
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OTTサービス利用時の操作と認知に関する調査
ユーザーの選択肢が多く、サムネイル画像の画面占有率が高いNetflixを対象としてウォークスルー評価を行なった。 結果としてOTTサービスにおけるユーザーの操作プロセスから、サムネイルとジャンル選択の情報表現がユーザーの操作や認知に影響していることがわかった。 また、サムネイルに関する研究はYouTubeを対象に行われているものはあるが、OTTサービスを対象としたものは行われていないため、 操作性や認知性を必要とされるOTTサービスにおけるサムネイル研究は必要であると考える。
04
サムネイルに関するサンプルの作成と評価・検証
Netflixにおける計30点のサムネイルをカードとして、KJ法を利用した調査を行ない、得られた各群の5要素を因子として、計48サンプルを作成した。 その後、サンプルに対して、105名にアンケート調査を実施し、各群の名称の印象が最も強いものを1点選んでもらい、考察を行なった。
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既存OTTサービスのUI分析
提案を行うにあたって、既存OTTサービスのUIにおける負荷を認知負荷理論の観点から分析し、 サムネイルを中心とした改善法を検討した。また、家と外でのサービス利用法が異なる二面性を持ったペルソナを設計し、 市場における競合としてTikTokやInstagramなどの短い動画コンテンツを扱い、空き時間に価値を生むことのできるサービスを挙げた。
 
 
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ユーザーへの認知負荷を考慮したUIの提案
調査と分析より「時間的パーソナライズを施したUI」をデザインコンセプトとし、UI提案を行なった。 提案したUIに対しては、System Usability Scale(SUS)を利用して定量的なユーザビリティ評価を行い、その後定性的な評価として、 ヤコブ・ニールセンのユーザビリティ10原則を参考に作成した指標を基にフィードバックを受けた。
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UIの価値と今後の展望
提案したUIには独自の価値があり、評価と改善を繰り返す必要があると考える。サムネイルに関しては、 映像内のサムネイルとして相応しいシーンを静止画としてキャプチャすることができるArtwork Visual Analysis(AVA)技術と ユーザーに合わせたパーソナライズ化を行うことでサービス全般の操作の簡略化や、視覚情報の認知しやすさの向上に繋がり、ユーザーの負荷を軽減することができると考える。
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